【映画】JAWAN/ジャワーン

 シャー・ルク・カーン主演のインド映画『JAWAN/ジャワーン』を観てきた。

 ストーリー紹介は何を書いてもネタバレになりそうなので、実に難しい。
 インド北部の国境近くの村に、銃で撃たれて瀕死の状態となった男(シャー・ルク・カーン)が川の上流から流されてくる。村人によって救われた男は、意識を失ったまま昏々と眠り続けていたが、軍服姿の男たちが村を襲撃して村人の虐殺を始めたとき、突如として目を覚まし、襲撃者たちをかたはしから叩きのめしていくのだった。いったいこの男は何者なのか? だが、男は記憶を失っており、自分が何者なのかわからなくなっていた。男に命を救われた少年は、自分が大人になったら絶対に身元を探り出してみせると約束するのだったが……。
 それから30年後。全身に包帯を巻いた謎の男と若い女性たちの一団がムンバイの地下鉄を乗っ取り、身代金として4000億ルピーを要求する。人質となった乗客の中に武器商人カリの娘がいるように仕組まれていたことから、多額の身代金はカリに対して要求され、娘のためにカリはその身代金を支払う。事件を担当するテロ専門部隊を率いる女性警官ナルマダ(ナヤンターラ)は、地下鉄が駅に到着したところで犯人一味を逮捕すべく待ち構えていたのだが、犯人たちはみごとに姿をくらましてしまう。しかも、振り込んだ身代金を取り戻そうとしたときには、すでに全国70万人の借金をかかえる農民たちの銀行口座に振り込まれたあとであった。はたして、この犯人一味はいったい何者で、何が目的なのだろうか。
 というのが、冒頭部分である。ここまでで充分に面白いのだけれど、本当に盛り上がるのはここからなのである。だが、それを書くわけにはいかない。あんなことやこんなことがあって、そこからさらにあんな展開まで待ち構えているのだけれど、それはすべて観てのお楽しみ。
 だけど、これは書いても大丈夫。シャー・ルク・カーンがね、めっちゃかっこいいんです(きっぱり!)。通常の2倍モードでシャー・ルクを満喫できる映画なのです。葉巻をくわえたシャー・ルクが登場してきたシーンでは、本気で鳥肌がたったもんね。まさにキング・オブ・ボリウッドと呼ぶにふさわしい魅力と貫禄!
 登場する女性たちも豪華そのもの。シャー・ルク率いる強盗団のメンバーは全員女性だし、強盗団を追う警察官も女性だし、女子刑務所が主な舞台となるのでわんさと女性たちが登場してきて全員で派手に踊るし、しかもどういう設定か書くわけにはいかない役でディーピカー・パードゥコーンまで出演しているのである。
 そして、繰り返される派手なアクションシーン! 肉弾戦あり、銃撃戦あり、カーバトルありと、多彩なアクションシーンが遠慮容赦なく繰り広げられるのである。ある場面では、思わず「ワイルド7かよ!!」って、心の中で叫んでしまったからね。いや、本当に「ワイルド7」そのもののバイクアクションが観られるのですよ。このシーンでは、またしても鳥肌が立ってしまった。すごいぞ、インド映画。
 もちろん、豪華絢爛なダンスシーンもたっぷりと盛り込まれている。最近は、このダンスシーンの控えめなインド映画も増えてきている印象なのだけれど、この映画ではダンスシーンの撮影だけで何日かかっているんだ!というくらいに、遠慮なくたっぷりと踊りまくっている。
 これだけ娯楽に徹した映画だというのに、それでいて力強い社会派ドラマとしての一面もあったりして驚かされる。最後にこめられたメッセージには、ちょっと感動させられたからね。徹底した娯楽映画でありながら、これをやってくれちゃうんだ! すごいな、インド映画。
 とにかく面白い。遠慮容赦なく楽しませてくれる。これだけあれこれたっぷり盛り込んで、よくぞ171分におさまっているものだと、そんなことにも感心させられてしまう。
 久しぶりに、インド映画の圧倒的な底力を見せつけられた作品なのでありました。

 でも、ひとつだけ文句をつけるとしたら、パンフレットの表紙の写真は違うと思うぞ。この映画の魅力をぜんぜん反映していないじゃん。あんなハゲ頭の親父が主人公の映画と思われたら配給会社としては絶対に損だと思うぞ。

※パンフレットに使われていたのはこの画像。これで観に行こうと思う人は少ないのでは?