氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』集英社文庫コバルトシリーズを読了。
時は平安時代、ところは京都。貴族の娘の瑠璃姫16歳は、「早く結婚しなさい」とさんざんせっついてくる父親相手にバトルを繰り返す毎日を過ごしていた。とうとう幼なじみの藤原高彬と結婚することになるのだが、それがなぜか天下を揺るがす大騒動に巻き込まれてしまうことに!
文庫が刊行されたのが1984年、もう40年も前の作品だ。『クララ白書』『アグネス白書』『雑居時代』『少女小説家は死なない!』『なぎさボーイ』『多恵子ガール』といった作品を片端から読んでいた時期の作品でありながら、本作には手を出していなかった。思えば、氷室冴子が時代小説を!という違和感から手を出し損ねた作品だったのだ。ところが40年たって読んでみたら、なんてことはない、これまたしっかりと氷室冴子の小説ではありませんか。なにせ「思うに、あれがあたしの人生のハイライト、ゴールデンアワーだった」なんてカタカナ混じりの文章が平然と出てきてしまうのだ。66歳の男性が読むにはちと気恥ずかしいものがあるけれど、実に楽しいぞ。せっかく全巻揃えたのだから、この機会に読んでみることにしよう。