★ある日どこかで

 クリストファー・リーブジェーン・シーモア主演の映画ある日どこかでを観る。1980年の映画で、日本で公開されたのは1981年。ということは、42年ぶりに観たということなのだろうか? あらためて観て、記憶の中でめちゃくちゃ美化していたということにビックリしてしまった。なにしろ、自分の記憶の中では、ジェーン・シーモアがこの世のものでないくらいに美しかったはずなのだけれど、さすがにそこまでの美女ではなかった。
 脚本家のリチャード(クリストファー・リーブ)は、ふと立ち寄ったホテルの歴史資料室に飾られた昔の女優エリーズ・マッケナ(ジェーン・シーモア)の写真を見て、その美しさのとりことなってしまう。寝ても覚めても彼女のことが頭から離れなくなってしまったリチャードは、時間旅行を研究するフィニイ教授から「行きたい時代の品物だけを身に付けて、自分がその時代にいるのだと暗示をかけることで過去に行くことができる」と教えられ、1912年の衣服に身を包み、「いま自分は1912年にいる」と暗示をかけて時間を乗り越えるのだった。
 そんなんで時間を乗り越えられるかなどという突っ込みはなし。なにしろ、彼に時間旅行の方法を教えるフィニイ教授というのは、明らかにジャック・フィニイから名前をとっているのだから。ジャック・フィニイの代表作といったら『ふりだしに戻る』であり「愛の手紙」だからね。人の想いは時間を越えるのだよ。もっとも、本作の原作を書いているのはリチャード・マシスンなのだけれど。

 それにしても、改めて観ると、2人が恋に落ちる展開がけっこう強引だったりする。エリーズの立場からすれば、突然やってきてなれなれしくつきまとうリチャードって、単なる変質者とかストーカーにすぎないはずなのに。でも、占いで運命の人が現れると言われていたものだから、突然現れたリチャードに「あなたなの?」とか言って、あっという間に心を許してしまう。このあたりの展開は記憶からきれいさっぱり抜け落ちていたけど、でも、許そう。そんな細かいことはどうでもよくなるほど、美しい映画なのだから。こんなロマンチックな映画、なかなかないよね。