★ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

 MOVIX川口にてミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』を観る。
 正直に白状すると、細かい設定がまるっきりわからなかった。あの鍵って何に使うものなの? 「エンティティ」って誰が開発したものなの? ロシアの潜水艦がどう関係するの? アブダビ空港でのあの核爆弾て、いったいなんだったの? 人物関係も、誰がどういう立場で動き回っているのかよく分からなかったりして。
 でも、そんなこたぁどうでもよくなる面白さ。キャラのたった女性たちと、それにふりまわされるイーサンのノンストップアクションをただただ呆然と眺めていればいいのだ。もう、アクション演出のあまりのすごさに、思わず笑いが出てしまったもんね。もう、笑うしかないでしょ、あそこまでやってしまったら。これでもう充分満足と思っても、ぜんぜんそこで終わらずに「ほれほれ、もういっちょう!」「まだまだ、もうにちょう!」と、アクションの追い打ちの連打連打連打! アクションのわんこそば。いやあ、満腹です。もうお腹いっぱい。
 それにしても、この手の映画にしては実に珍しいことに、女性キャラがみんないい。ヘイリー・アトウェル演じるグレースがいいし、レベッカ・ファーガソン演じる元MI6のイルサもいいし、ヴァネッサ・カービー演じる闇市場の武器仲買人アラナもいい。本来なら、このアラナのキャラが自分のいちばん好みのキャラであるのだけれど、しかし、それを遙かに上回る強烈なキャラがポム・クレメンティエフ演じる殺し屋のパリスだ。装甲車で街を破壊しながらイーサンを追いかける場面での、あのなんとも嬉しそうな表情の素晴らしさよ。格闘シーンの動きも素晴らしく、それでいて最後はあれだもんなあ。いやあ、すっかり惚れてしまいました。
 ところで、イーサンを執拗に追い続けるCIAのジャスパー捜査官だけれど、途中から銭形警部に見えてきて困ったぞ。彼が「イーサン!」と叫ぶシーンなんて、「ル~パ~ン、お前を逮捕する!」と聞こえてきてしまう。さらには、イーサンを裏切って彼を置き去りにするグレースからは、「ごめんね、ルパン」というセリフが聞こえてくる気がするではないか。そのあと、車のハンドルを抱えて間抜けな姿をさらすイーサンはルパンそのもの。そうなると、2つ合わせて意味をなす鍵だって、カリオストロの城の指輪に見えてくるではないか。なんとなんと、この映画は「ルパン三世」そのものだったのだ。
 ひとつ不満を言うならば、字幕で「エンティティ」をずっと「それ」と訳していたのだけれど、もっといい訳はなかったのかな。会話の中でみんなが「それ」って言っているのって、すごい違和感だったのだけれど。