★インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観てくる。
 実に面白く楽しいアクション映画であった。が、こちらが「インディ・ジョーンズ」に期待するレベルに達していたかというと、残念ながらそれはない。ごく普通に面白いアクション映画というだけで、決してそれ以上のものではなかった。やはり、スティーヴン・スピルバーグ監督作品とは、明らかに違っている。スピルバーグが監督した過去の「インディ・ジョーンズ」では、もっともっと心躍るシーンがあったし、もっともっとニヤリとさせられるシーンがあった。オープニングシーンにしてもカーチェイスシーンにしても洞窟を探検するシーンにしても、あんなに長くなることはなかっただろう。馬にまたがって逃げ回るシーンでももっと快哉を叫びたくなるような見せ場を作っただろう。
 しかし、そういう過去の作品によってすっかり刷り込みをされてしまっているので、ここぞという場面でインディ・ジョーンズのテーマ曲がかかると、それだけでワクワクしてしまう。
 ところで、いまいちよく設定が分からなかったのだけれど、ナチス出身の科学者が、アメリカで部下を率いて次々と殺人事件を起こしているのに、なぜCIAが協力し、隠蔽しているのだろうか。この科学者がヴェルナー・フォン・ブラウンをモデルにしており、アポロ計画の立役者という設定になっているのはわかるが、だからといってあれだけ堂々と騒ぎを引き起こしておいて、それにCIAが協力するという理由が分からない。あの部下たちは、ナチスの残党を個人的にかき集めたものなのか? さらには、世界中を駆け巡ってインディ・ジョーンズ相手のかけひきを繰り広げるのだけれど、それだけの組織力、資金力をどうして持っているのだろう?
 などと、思わず不満を書き並べてしまうのだけれど、クライマックスで展開される壮大な光景には心躍らされた。なにをどうやったところで、タイムパラドックスが発生して歴史が変わってしまう展開ではあるのだけれど、そういう細かいことは抜きにして、あのシーンは素晴らしかった。
 また、年老いたインディ・ジョーンズに変わってアクションシーンを引き受けているヘレナ・ショー(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)のキャラクターも素敵で、特に最後のあの一発はよかった。
 『魔宮の伝説』におけるショート・ラウンド(キー・ホイ・クァン)を彷彿させるテディ(イーサン・イシドール)の活躍も楽しい。将来、アカデミーをとるような俳優になってくれるといいのだけれど、それは無理かな。
 そして、カレン・アレンハリソン・フォードも歳をとったけれど、カレン・アレンもすっかり婆さんになったもんだなあ。だけど、カレン・アレンが出てくるというだけで嬉しくなってしまったぞ。