【映画】めくらのお市 みだれ笠

 松山容子主演のシリーズ3作目『めくらのお市 みだれ笠』を観る。
 何者かに襲われ瀕死となった若者から巻物を届けて欲しいと託されたお市松山容子)。だが、その巻物を狙ってあとからあとから刺客がお市に襲いかかる。やがてその巻物は榊弦之介(伊吹吾郎)という浪人に奪われてしまうのだが、その榊もある偶然からお市を救った際に巻物を川に落としてしまう。その巻物に書かれていたのは威力を増した火薬の製法であった。蘭学者・室伏鉄斎(浜村純)の研究のために必要な巻物だったが、強力な爆弾を作り出してひと儲けしようとたくらむ野州田原藩の悪家老・相馬主水正(沼田曜一)が配下を使って奪おうとしていたのだった。巻物を手に入れるために、主水正はとうとう鉄斎を誘拐し、それを奪い返すために榊は爆弾の実験をしている発破場に乗り込んでいく。だが、主水正の卑怯な罠によって逆に捉えられてしまう。かかわりを避けようとしていたお市であったが、農民たちを虫けらのように扱う役人の仕打ちに我慢しきれず、悪家老を倒し、榊たちを救うために単身乗り込んでいくのだった。
 いま調べたら、シリーズ1作目の『めくらのお市物語 真っ赤な流れ鳥』から本作まで、すべて1969年に公開されていた。シリーズ4作目の『めくらのお市 命貰います』が翌1970年。短期間の間に一気にシリーズ4作が撮られていたのだ。しかも、3作目まで観て、いずれもしっかりと面白い。きっちり娯楽映画として楽しめる作品に仕上がっているのだ。こういう娯楽映画を次から次へと作れたということは、それだけ映画界に勢いがあったということなのだろう。
 それにしても、松山容子、いい女優だなあ。ほんのちょっとしたセリフに、色気がダダ漏れしてくる。そのくせ、激しい剣劇シーンもこなすんだからなあ。さあ、このシリーズも残すところあと1本。見終えてしまうのがもったいないけれど、早いうちに観ることにしよう。