松山容子主演の『めくらのお市 地獄肌』を観る。
賞金首を斬っては賞金を稼いで暮らしているめくらのお市(松山容子)。彼女をライバル視する黒髪のお炎(松岡きっこ)に襲われ、勝負に勝ったものの情けからとどめを刺さなかったがために、お炎の放った毒蛇にかまれてしまう。それを救ったのは、百姓の茂作だった。美しいお市に献身的に尽くす茂作。お市は生まれて初めて愛される幸せに酔いしれるのであった。だが、村人が生き延びるために隠した米をやくざの文蔵が狙い、それと組んだお炎によって茂作は罠に陥り、お市は幸せを捨てて再び血なまぐさい世界へと舞い戻らざるを得ないのであった。
いやあ、松岡きっこって、こんなに妖艶な女優だったのですね。存在感がものすごい。それに対する松山容子は斬った張ったの世界に生きながらも清楚なたたずまいを崩さず、茂作と夫婦になるあたりの喜びようは実に可愛らしい。この対極的なふたりが対立するという図式が実にいい。
そこに村人の助っ人として近衛十四郎が登場するのだけれど、さすがに貫禄たっぷりだ。とはいうものの、あくまでもゲスト出演的な扱いなので、いささか物足りない。もっと、活躍してほしかったのに。
それにしても、映像の美しさには何度も驚かされる。様式美ともいうべき世界で、光と影の使い方が実に印象的だ。自分はこの手の映画をあまり観てきていないので、実に新鮮で、魅了されてしまった。
そして、あまりにも唐突なラストにもびっくりだ。えっ、ここで「終」の文字が出るのか!