【映画】南拳宗師 ライズ・オブ・フィスト

 中国映画南拳宗師 ライズ・オブ・フィスト』を観る。
 武術の師匠を訪ねて広州の猪油街にやって来たリウ・ユエンバーは、そこでアヘンをめぐる騒動に巻き込まれ、師匠が外国人と結びついてアヘンの密売に関わっていることを知らされる。しかも、その師匠に父を殺されたというイエン・シュアンという女性が率いる一派から敵視されることとなってしまう。
 師匠を信じるリウは、真相を探り出すべく動き出すのだが……。
 確か、予告編を観て「これは面白そうだ!」と思って借りてきたビデオだったはずだが、どこにそんな魅力を感じたのか、本編を見てもまったく思い出せない。「これは面白そうだ!」と興奮するようなシーンは、どこにもなかったのだけれど。いったい何を観て「これは観なければ!」と思ってしまったのか。
 アクションシーンに関していえば、まあ、そこそこといったところだろう。クンフー映画でアクションシーンがそこそこというのは困ったものだと思うのだけれど、アクションシーンの演出がどうにも凡庸なのだ。主人公のリウ・ユエンバーという人物は、実在の武術家ということなのだけれど、それだったらもっと激しいアクションを期待するのに、いまいち盛り上がらない。他のメンバーも武術の達人揃いという設定なのだけれど、それらしいシーンはほとんどない。うーむ。
 脚本も、まあ、そこそこといったところか。そんなに悪くはないのだけれど、これといって突出した部分もない。
 つまりは、さほど退屈はしなかったけれど、快哉を叫ぶような映画でもなかったぞといったところだ。
 主役を演じていたベニー・チャン(陳浩民)という俳優について調べようとすると、香港の映画監督・ベニー・チャン(陳木勝)ばかりが出てくるのだけれど、『王朝の陰謀 恐怖の人体実験と黒死病』『西遊記 孫悟空vsスパイダー・ウーマン』『孫悟空伝-MONKEY KING-』といった作品に出ているようだ。いまいち緊張感のない顔つきなので、この手のクンフー映画には向いていないように思うのだけれど。どちらかというと、コミカルな映画の方が似合いそうだ。ちなみに、テニス仲間にとてもよく似た友人がいて、彼がこの役を演じているような気がして、どうにも映画に集中できなかったのにはまいった。
 一方、ヒロインを演じているワンジョン・ワンという女優さんはなかなかきれいで、そこはちょっと嬉しかった。『開封府~北宋を包む青い天~』というテレビドラマに出ているらしい。脇役の女優さんも、名前はわからないけれど、なかなか可愛らしかった。まさか、予告編で観た女優さんがきれいだったから「これは観なければ!」と思ったわけではないと思うのだけれど。