【イベント】東京創元社新刊ラインナップ説明会2024

 東京創元社の「新刊ラインナップ説明会2024」というイベントで飯田橋まで出て行く。
 ネットで参加者を募集していたので、さほど何も考えずに応募したら「厳正なる抽選の結果、お席をご用意させていただきましたことをお知らせいたします」というメールが届いたのだ。あっさり当選したので、申し込んだ人はみんな当選するのかと思ったら、ぜんぜんそんなことはなかったらしい。今年は応募者が多く、SNSでも「申し込んだけどはずれた」という書き込みがけっこうあった。ミステリファンならぜひ行ってみたいイベントだろうから、自分のようなものが当選してなんとも申し訳ない気分になってしまう。

 受付で名乗ると、封筒を渡されて、その時に渡された番号が座席の番号となる。なんとラッキーなことに前から2列目の座席だ。
 入場して、まずは物販のコーナーに並ぶ。東京創元社のオリジナルグッズの販売もあるのだけれど、自分はサインをもらうための本の購入。本日、ゲストで来場するのは、作家の今村昌弘さん、丸山正樹さん、高島雄哉さん、翻訳家の上條ひろみさんの4名。実に実に申し訳ないのだけれど、まったく作品を読んだことのない方たちばかりだ。これを機会に読もうとは思っているのだけれど、ファンが集まっている中に、自分のような人間が紛れ込んでサインをもらってしまっていいものだろうかと思ってしまう。

※本の購入では現金は使えず、クレジットカードやPayPayなどとなる。レシートの下には「きてくれてありがとうニャ。今年もうちの本をよろしくニャ。」と印字されていた。

※封筒に入っていた「くらり」のシールと、展示コーナーにあった「くらり」の名刺3種

 入ってすぐに関係者席があって、そこに北原尚彦さんを発見してご挨拶。毎回来ているとのことで、「ゲストとして呼ばれる方にまわりたいですね」と言っていたけれど、そのためには東京創元社から本を出さないと。『ドイル傑作集(全5巻)』を出したのは2004~2011年だし、『モリアーティ秘録』を出したのは2018年ですからね。ここはぜひ『新ドイル傑作集』を出してほしい。

 15時半ジャストに池澤春菜さんの司会で説明会がスタート。東京創元社社長からご挨拶がちょっとあってから、各部門の担当編集者による2024年注目の新刊紹介となる。
 また、国内ミステリ紹介のコーナーでは今村昌弘さん、丸山正樹さん、SF紹介のコーナーでは高島雄哉さん、海外ミステリ紹介のコーナーでは上條ひろみさんが登壇して自著の紹介などをしていく。池澤春菜さんの司会ぶりが実におみごとで、ゲストから上手に話を引き出していく。これ、よっぽど作品を読み込んでいないとできない司会ぶりで、そうそう他にできる人のいるようなお仕事じゃないと感嘆してしまう。

※左から池澤春菜さん、今村昌弘さん、丸山正樹さん、高島雄哉さん、上條ひろみさん

 2024年新刊ラインナップで自分的に「おおっ!」と思ったのは、こんなところ。
フレドリック・ブラウン短編全集』。全5巻で文庫で刊行とのこと。『フレドリック・ブラウンSF短編全集』全4巻から「SF」の文字がとれているけれど、あれの文庫化なのでしょう。
スケープゴート(仮題)』ダフネ・デュ・モーリア三笠書房から『犠牲』もしくは『美しき虚像』のタイトルで出ていたもので、自分は『美しき虚像』の上巻と『犠牲』の下巻を持っているのだけれど、上下揃っては持っていないので、これはちょっと嬉しい。
『Vicious Circle(原題)』C・J・ボックス。猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズは今年も出てくれるとのこと。

 ラインナップ説明会のあとは、ゲストとして登壇していた4名のサイン会。恥ずかしい話だが、自分にはまったく馴染みのない作家の方たちばかりなのだけれど、せっかくの機会なので全員の方にサインを入れていただく。並んでいる方たちは、みなさん熱心な読者の方たちばかりで、サインをもらう時にあれこれと話しかけたりしていたのだけれど、自分は話しかけるネタがなにもないので、実に申し訳ない。
 サインをいただいたのは、以下の4冊。
ランドスケープと夏の定理』高島雄哉

『屍人莊の殺人』今村昌弘

『デフ・ヴォイス』丸山正樹

『見知らぬ人』エリー・グリフィス

 ありがとうございました。サインをいただいたからには、この4冊は当然読むつもりです。それは礼儀というものですよね。

 そして、『見知らぬ人』にサインをいただくときに、傍らにいた翻訳ミステリー担当の編集者の方に「C・J・ボックスのジョー・ピケット・シリーズを引き継いでいただいてありがとうございます」と声をかける。もともとこのシリーズは講談社文庫で出ていたのだけれど、講談社文庫が求めている発行部数に届かないため、翻訳が中断する危機にあったのだ。それを引き取って続きを出してくれたのが東京創元社なのである。講談社文庫から出ている頃、翻訳の野口百合子さんが必死にかけあって出していたのをSNSを通じて見ていただけに、東京創元社という受け皿ができたのは本当に喜ばしい。
 さらに「ダフネ・デュ・モーリアの翻訳は、まだ続けてもらえるのでしょうか?」と聞いてみると、それは担当者が別とのこと。それでも「ダフネ・デュ・モーリアには、未訳の長編作品がまだあるので、ぜひとも出していただきたい」とお願いして「担当者に伝えておきます」という言質をいただく。三笠書房でずっと刊行予定となっていながら、とうとう未刊で終わってしまった作品があるので、それはぜひ出していただきたい。正直、難しいとは思うのだけれど、実現してくれたら実に嬉しい。

 というようなイベントでした。自分のような本好き(特に東京創元社で出すような本の愛読者)ならば、誰でも楽しめるイベントだったかと思います。参加費無料のイベントですので、気になる方はぜひ参加してみてください。