【映画】復讐・ドラゴンの爪

 フィリピン映画復讐・ドラゴンの爪(Chinatown: Sa kuko ng dragon)』を観る。

 熱血刑事のダニエル・モレノ(ラモン・ボン・レヴィリア・ジュニア/Ramon 'Bong' Revilla Jr.)は、チャイナタウンを拠点とする麻薬密売組織の捜査をしているのだが、あまりにも強引すぎる捜査に署長(エディ・ガルシア/Eddie Garcia)から謹慎処分を言い渡されてしまう。実は、麻薬密売組織は警察署長とも繋がっていたのだが。
 だが、謹慎処分になっても捜査をやめようとしないモレノ
 麻薬組織を支配しているワン(トニー・フェラー/Tony Ferrer)は、偶然にも麻薬の仲介所に使っているチャイナタウンの骨董品店でモレノの妹(ミア・プラッツ/Mia Pratts)が働いていることを知り、彼女がモレノに情報を流しているものと思い込んで誘拐し、レイプした上で殺害してしまう。だが、そのことによって復讐の鬼と化したモレノは、さらに執拗に麻薬密売組織に迫っていくのだった……。

 フィリピンのダニー・リーと僕が勝手に呼んでいるラモン・ボン・レヴィリア・ジュニア主演のアクション映画である。1988年の作品なので、ボン・レヴィリアがめちゃくちゃ若い。そして、その捜査がめちゃくちゃ強引で容赦がない。容疑者は片端から射殺。縛り上げた相手をダイナマイトでぶっ飛ばすと脅して口を割らせておいて、本当にダイナマイトで粉みじんに吹っ飛ばす。銃撃戦の最中に、敵と間違えて浮浪者を撃ち殺してしまうのだけれど、その時に主人公が口にするセリフがすごい。
こじき野郎 うろうろするからだ」
 いやあ、凄いな。1980年代のフィリピンアクション映画って、ほとんど観たことがなかったのだけれど、こんな作品ばかりだったのだろうか? まあ、けっこう楽しめたからいいんだけど。
 ちなみに、そんな殺伐とした映画なのに、恋人(オーロラ・セヴィーリア/Aurora Sevilla)とのラブシーンとか、観光地(タガイタイ?)に遊びに行ったりというシーンが挟み込まれたりもする。ほとんど意味のないシーンで完全に他の場面から浮いているのだけれど。いやはや。

 敵役を演じているトニー・フェラーは、1960年から1970年代にかけて、山のようにアクション映画に出ているかつての大物俳優。特に「エージェントX-44」というコードナンバーで呼ばれるスパイ、トニー・ファルコンを演じたシリーズは大人気だったらしく、2007年にヴォン・ナバロ主演で撮られたコメディ映画『Agent X44』にもチラリと出演していたりする。
 また、エディ・ガルシアは説明の要もないほどの大物俳優で、IMDbを見ると1949年から2019年にかけてテレビシリーズも含めて749本の作品に出演している。絶頂期にはアクション映画の主人公を演じまくっていた伝説の俳優で、晩年にはしっとりとしたいい演技も見せていたのだけれど、2019年に惜しまれて亡くなっている。
 そういう凄い俳優を敵にまわして主人公を演じているラモン・ボン・レヴィリア・ジュニアもなかなかの芸歴で、父親は俳優兼政治家のラモン・レヴィリア・シニア。7才で子役として映画デビューして、数々のアクション映画でヒーローを演じ続ける一方でプロデュース業にも進出し、さらには上院議員をも務める大物だ。

 まあ、いろいろと突っ込みどころのある映画ではあったけれど、さらに突っ込みたくなるのがアマゾンプライムビデオにあるストーリー紹介だ。
「フイリピン中.印に昭躍する麻擾組皿ドラゴ ン.その手によって殺害された妹と恋人の国 、に立ち上がる燃血警官と、官になることを -見る少年がくり広Ifる儒快アクション/」
 ビデオパッケージにあるストーリー紹介をOCRソフトで読み込んで、そのまま載せちゃっているのだろうけれど、いくらなんでもこれはないよなあ。