【映画】ルックバック

 アマゾンプライムビデオで劇場アニメ『ルックバック』を観る。
 鑑賞後になんともいえない微妙な気持ちの残るアニメだった。小学校で出会った二人の少女。ひとりは学校新聞に4コママンガを連載して友人たちから絶賛されている少女。ひとりはそのマンガの愛読者だが、人と交流することが苦手で家に引きこもってひたすら絵を描いている少女。そのふたりが出会い、力を合わせてひとつの作品を仕上げ、やがてプロのマンガ家としてデビューを果たす。だが、週刊誌連載の話が持ちかけられたところでひとりは「もっと絵がうまくなりたい」という情熱に背中を押されて美術大学への進学という道を選ぶ。残されたひとりは週刊連載を始めて人気マンガ家となる。異なる道を選び、交流の途絶えた二人だったが、そこに悲劇が襲いかかる。
 その悲劇を、創作という力で乗り越えようとするのだが、はたして乗り越えることができたのか。創作などというものは、無力なのではないか。その無力感、切なさゆえに、見終えたところでなんともいえない微妙な感情が自分の中にくすぶってしまう。きれいごとで終わらせないところに、この作品の本質が潜んでいるのだろうし、微妙な気持ちになるのは作り手のもくろみ通りなのだろう。
 傑作と呼ぶほど割り切れないのだけれど、いい作品なのだと思う。