今年最初の映画は、インド映画の『ストリートダンサー』。
舞台はロンドン。インド系の青年サヘージ率いるダンスチーム「ストリート・ダンサー」と、パキスタン系の女性イナーヤト率いるダンスチーム「ルール・ブレイカーズ」は、ことあるごとに対立し、ダンスバトルを繰り広げていた。そこに、10万ポンドの賞金が獲得できるダンスバトル大会「グラウンド・ゼロ」の開催が発表され、両チームは優勝を目指してその大会に参加することになる。だが、トップクラスのダンスチーム「ロイヤルズ」から声をかけられたサヘージたちは、自分のチームを離れて「ロイヤルズ」に合流するのだった……。
インド映画にとってダンスバトルほど相性のいい題材はなかろう。なにせ、ひたすら踊り続けるシーンを、いくらでも盛り込むことができるのだから。ところが、いざ観てみると、延々と続くダンスシーンにいささか食傷してしまう。きっちりしたストーリーがあって、そのストーリーを盛り上げるために存在するダンスシーン、それがインド映画の醍醐味なのだとよくわかった。この映画は、ダンスシーンのためのダンスシーンが延々と続き、そのダンスがストーリーにからんでこないのだ。しかも、チーム対抗の大会なのに、「ルール・ブレイカーズ」が負けそうになるとサヘージが「ロイヤルズ」を裏切って「ルール・ブレイカーズ」のダンスに加わったり、決勝戦でチームの名前を「ルール・ブレイカーズ」から「ストリート・ダンサー」に変えたりと、それって大会のルール的に許されるの?という脚本はさすがにご都合主義すぎる。
とはいえ、こうした作品であってもきっちりと社会性を持たせ、ここぞというところで泣けるクライマックスを用意するところなどは、さすがはインド映画。いささかあざといと思いつつも、こうでなくっちゃと嬉しくなってしまう。
監督は『ロボット』『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』『バジュランギおじさんと、小さな迷子』など数多くの作品でダンスシーンの演出を担当してきたレモ・デソウザ。本作のダンスシーンの演出では、やりたいことはことごとく盛り込んだのではないだろうか。
主役のサヘージを演じているのは、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』のヴァルン・ダワン、ヒロインのイナーヤトを演じているのは、『愛するがゆえに』『サーホー』のシュラッダー・カプール。