
野村進『フィリピンと日本人』ちくま新書を読了。
フィリピンの歴史、特に近代史を日本とのかかわりを中心に描いたもの。長いことスペインの植民地となっていて、その後アメリカの植民地になり、短期間ながら日本の占領下におかれたという概略は知っていたけれど、その具体的な内容についてはまったくの無知だった。まあ、読んでいる間は「へえ、そんなんだ、そうだったんだ」と、知らなかった歴史のシャワーを浴びて勉強になったつもりになっていても、読み終えるなりほとんどの知識は消え失せてしまったのだけれど。だけど、日本軍がフィリピンでおこなった民間人の大量虐殺は、あまりにも壮絶すぎて、忘れ去ることはできない。人間て、慣れてしまうとどんな残虐な行為も日常にしてしまえるという恐ろしさ。戦争というものが、いかに恐ろしいものであるのかが、痛いほどに伝わってくる。それほど昔でもない時代に、僕らの祖父の年代の日本人がやってしまった行為なのだ。
かつてフィリピンで、年配の女性の誕生パーティに招かれた際に、「あなたは戦争についてどのくらい知ってるの?」と聞かれ、日本軍がフィリピンでひどいことをやったらしいという程度の知識しかなかった自分は「ごめんなさい。だけど、自分にとってはあの戦争は過去の歴史でしかないんです」としか言えなかった。だけど、あの女性は、戦時中に日本軍によって身内を殺されていたのかもしれない。それぐらい多くのフィリピン人が日本軍によって殺されたのだから。日本の現総理大臣は、「少なくとも私自身は、当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもないと思っております」などと言っているけれど、過去を学び、過去を反省し、あのような愚かしいことを二度と繰り返さないということが、自分たちにできるいちばん大切なことなのではないだろうか。
自分は趣味としてフィリピン映画を楽しんでいる。アジア各国の映画を楽しんでいる。だけど、こういう過去があったということもちゃんと知った上で楽しむというのがマナーなのではないだろうか。