【映画】新幹線大爆破(2025年版)

 Netflixにて樋口真嗣監督の新幹線大爆破を観る。
 言わずと知れた佐藤純弥監督による1975年公開の『新幹線大爆破』のリメイクである。1975年版では、国鉄の協力が得られずに隠し撮りとミニチュア撮影によって撮りあげられていたが、今回はJRによる協力のもとで撮られている。
 青森発東京行きの新幹線「はやぶさ60号」に爆弾が仕掛けられたとJRに電話が入る。その爆弾は時速100キロ以下に新幹線のスピードが落ちると爆発する設定になっていた。そのため、新幹線の速度を時速120キロに落とし、少しでもタイムリミットを伸ばそうとするのだが、いずれ終点の東京駅に到着してしまう。JR東日本新幹線統括本部では、なんとかそれまでに乗客を救出する方法を探るのだが……。
 リアルな映像と、ミニチュア撮影、CGなどを駆使して、迫力のある場面が展開される。そのあたりは、さすがは樋口真嗣監督である。
 問題は人間ドラマの方で、パニックに陥る乗客の描写がいささか作り物めいてうざい。死に直面した乗客の切迫感がまったく感じられず、完全に浮いてしまっているのだ。それと、犯人の設定にも無理がありすぎて、せっかくのめり込んで観ていたのに、犯人が明かされたあたりからいささか醒めてしまったのは残念。新幹線統括本部では緊迫感あるやりとりが繰り広げられているのに、車内の描写がそれを台無しにしてしまっている。
 過去の『新幹線大爆破』とは違う新しい要素を付け加えなければならないというのはわかるのだけれど、だからといってあの犯人の設定はないよなあ。絶対に無理じゃん。