【読書】小山力也『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』本の雑誌社

 小山力也『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』本の雑誌社を読了。
 先日読み終えた日下三蔵『断捨離血風録』で描かれていた日下三蔵邸における本の整理を手伝うために、古書店盛林堂書房の店主小野氏とともに何度何度も日下三蔵邸に通っていた著者による『断捨離血風録』のアナザーストーリーが本書。第三者から見た日下さんの蔵書の異常さ、日下さんの予想のはるか上を行く行動など、『断捨離血風録』では描かれていなかったエピソードの数々が実に面白い。古本を買うことに関しては、著者も常人のレベルをはるかに逸脱している人なのだけれど、その著者ですら呆れかえるエピソードがあとからあとから出てくるのだ。とりわけ「道化の方舟事件」には、さすがに爆笑してしまう。そりゃ、蔵書が増えるわけだよ。
 また、蔵書整理の過程で発掘されたレア本の数々のタイトルが具体的に記載されているのも『断捨離血風録』と違った本書の魅力となっている。日下さん的にはいちいちタイトルを記載するほどのことはないという本なのかもしれないけれど、そういうタイトルが記載されることによって日下蔵書の凄さがさらに浮き彫りになってきている。とはいえ、見たことも聞いたこともない本のタイトルだと、私レベルでは凄いのか凄くないのかすら判断がつかないのだけれど。
 残念なのは『断捨離血風録』を同じで、掲載されている写真が小さいこと。本のタイトルや装幀をもっとはっきりと見たい自分にとっては、そこが実にはがゆい。いっそ、本の雑誌社のホームページに、本書に掲載された写真をズラリと並べたコーナーを作ってくれたりすれば嬉しいのだけれど。
 いずれにしても、『断捨離血風録』とセットでの読書をオススメしたい。さすがにこのレベルの蔵書整理のルポルタージュは類書がないだろう。