【読書】国則三雄志『ジァールの五〇〇〇ペソ』亜細亜書房

 国則三雄志『ジァールの五〇〇〇ペソ』亜細亜書房を読了。
 マニラにあるマビニ通りとデル・ピラール通りに挟まれた一帯は、かつてツーリストベルトと呼ばれ、外国からの観光客を相手とするゴーゴーバーが立ち並ぶ一大歓楽街であった。本書はそのマビニ通りに生きる人々を題材とした13篇の短編小説が収録されている。正直、小説としてそれほど完成度が高いとは思わない。それでも、マビニ通りの雰囲気は伝わってくる。実際にその雰囲気を知っている自分だから、それなりに楽しめて読めたというレベルの小説だろう。
 たまたま本棚を整理していて出てきたというだけの理由で読んだのだけれど、いまどき本書を読んでいるような人間もいないのだろうな。