大学生の南方のもとに、行方不明になった友人を探して欲しいという依頼が飛び込んでくる。それを引き受けてしまった南方だったが、学内最大のサークルを率いるカリスマ的人物が現れたり、行方不明になった学生がドラッグを使ってレイプ事件を起こしていたことが明らかになったり、事態は混迷の度合いを深めていき、ついにはヤクザまでが絡む事態にまで発展してしまう。はたして南方は、行方不明となった学生を無事に発見することができるのだろうか……。
なんとなんと、「ザ・ゾンビーズ・シリーズ」の13年ぶりの新作である。とはいえ、かつてのゾンビーズのメンバーは登場してこない。大学生となった南方のみが主人公として登場してくる。とはいうものの、過去の作品をひきずった描写、エピソード、人物も登場してくるので、やはり過去のシリーズ作品も読んでおいた方が面白いはず。ちなみに、自分は「ザ・ゾンビーズ・シリーズ」4作をすべて読んでいるのだけれど、例によってきれいさっぱり内容を忘れているので、読み返してから本作を読めばよかったと、ちょっとだけ後悔した。
インタビューによると、本作は新たなるゾンビーズ・シリーズの再開作となり、今後の作品ではかつてのゾンビーズのメンバーも登場してくるらしい。まあ、本作に登場してくる何人かのキャラクターも、今後のシリーズにおいて常連メンバーとなるのは間違いないだろうけれど。
過去作をめちゃくちゃ読み返したくなったし、次回作もめちゃくちゃ楽しみだし、とにかく金城一紀が小説に復帰してくれたことを心から言祝ぎたい。