【読書】西村寿行『宴は終わりぬ』徳間書店

 西村寿行『宴は終わりぬ』徳間書店を読了。
 西村寿行の「初エッセイ集」と帯にあるが、おそらくは初にして最後のエッセイ集ではないだろうか。内容としては身辺雑記的なものが多いが、それがなんとも異様というか、やはり西村寿行という作家の異様なキャラがみごとに反映されたものとなっている。その場の勢いで書いていて、最初に書いていた内容からどんどん逸れていって、自分でも何を書いているのかわからなくなったりするところは、さすがは自由すぎる西村寿行だけのことはある。寺にこもって小説を書いていたらおばけが出た話があったりするのだけれど、内容があまりにも西村寿行の小説めいていて、どこまで本当のことやら。本のタイトルともなっている「宴は終わりぬ」というエッセイでは、3ヶ月間にわたる狂乱の日々が描かれているのだけれど、酔っぱらってデタラメを繰り返した挙げ句に肋骨4本を折って、それでもアルコールを飲み続けているのだから呆れかえる。巻末になぜか「朝顔」という短編小説が載っているのだけれど、その小説の内容がそこまで書かれていたエッセイと大差ないというのもさすがというべきか。
 文章の垂れ流しといった印象のエッセイ集で、西村寿行という小説家に多少なりとも興味がなければ、さほど面白いとは思わないだろう。