台湾のホラー映画『人面魚』を観る。
霊媒師ジーチェンは、一家惨殺事件の犯人ホンが悪霊に取り憑かれているということで、警察から協力を依頼され、ホンに取り憑いている悪霊を肉体から追い出すと魚に乗り移らせ、その魚を鍋で揚げてゴミとして処分する(こう説明するとギャグにしか思えないな)。だが、その魚から吐き出された稚魚を小学生のジャハオは家に持ち帰ってしまう。ジャハオの家には、夫から離婚を言い渡されて精神を病んでしまった母のヤーフェイ(ビビアン・スー)がいた。ジャハオの家では奇怪なできごとが連続するようになり、そのためにヤーフェイはどんどん追い詰められていく。一方のジーチェンは刑事とともに一家惨殺事件の捜査を続け、事件の背景にあった陰惨なできごとが明らかになるのだが……。
と、なんとかストーリーを紹介をしてはみたが、実は内容のよくわからない映画だった。わからないことだらけと言ってもいいだろう。脚本がちゃんと整理されていないため、いたるところが説明不足で、わかるようにできていないのだ。わからないがゆえに不気味な雰囲気が生じてはいるが、観ていてやたらとフラストレーションが溜まってしまう。
原題は「人面魚:紅衣小女孩外傳」で、『紅い服の少女/第二章 真実』の前日譚という位置づけの作品となっている。とはいえ、虎爺という精霊を操る霊媒師の一族が出てくる以外、どこがつながっているのかよくわからなかった。エンドクレジットのあとには『紅い服の少女』に繋がる映像が出てくるのだけれど、『紅い服の少女』の細かい内容なんて覚えていないしね。
クライマックスは、ジーチェンの繰り出す虎爺と、森に潜んでいた大魔神との対決となるのだけれど、『紅い服の少女』のクライマックスと同様に派手なCGで処理されているので、ぜんぜん怖くならない。期待しているのは、こういう映像じゃないんだけどなあ。
それと、「人面魚」というタイトルだけれど、冒頭にそれらしい映像が出てくるものの、そのあとの展開にはほとんど関係なかった気がする。というか、そもそも魚ってこのストーリーに関係あったのか? まあ、そのあたりも含めてよくわからなかったのだけれど。
主演はビビアン・スー。だけど、精神を病んでいる設定なので、やつれた顔でずっと暗い表情をしているので、ぜんぜんビビアン・スーらしくなかった。なんで、こんな映画にビビアン・スーを起用したのだろう。ビビアン・スーの魅力はまったく発揮されていなかったぞ。