ロジャー・ゼラズニイ『ロードマークス』新世紀社を読了。
本の形をした携帯型AI〈華(フラワーズ)〉を相棒に、時空を貫く1本の高速道路〈道(ロード)〉にピックアップトラックを走らせる運び屋のレッド・ドラキーン。そのドラキーンが殺人ゲーム〈黒の十殺〉のターゲットにされ、さまざまな敵が彼に襲いかかる。その攻撃をかわしながら旅を続けるレッドが出会う、さまざまな時代、さまざまな地域から来た奇妙なキャラクターたち。はたして、旅路のはてにレッドが辿り着くのはどこなのか?
読んでいて、めちゃくちゃ懐かしい思いにかられた。本書はかつてサンリオSF文庫から刊行されていたものの新訳なのだけれど、自分はサンリオSF文庫版は読んでいない。それでも懐かしく感じるのは、本書にぎっしり詰まっているさまざまな雰囲気が、自分が高校・大学時代に読みふけっていたSFと共通のテイストを持っているからなのだろう。実際、ゼラズニイの『地獄のハイウェイ』が出たのは自分が高校1年生のときである。その頃にこの手のSFを死ぬほど読みまくっていたのだ。そういうすれっからしのSFファンだった自分には「懐かしい」と感じる作品なのだけれど、いまの読者にとってはどういう感想になるのだろうか? いまから46年も前に、こういう小説が書かれていたということに驚いたりするのだろうか?
何年か前に『虚ろなる十月の夜に』が刊行されてびっくりしたのだけれど、こうしてゼラズニイのむかしの作品が今でも通用するというのは、なんとも嬉しいかぎりだ。