飯塚一陽『柔道を創った男たち』文藝春秋を読了。
サブタイトルは「嘉納治五郎と講道館の青春」。著者の父であり、講道館の初期メンバーのひとりでもある飯塚国三郎十段をメインに据えた、講道館の黎明期のあれこれを紹介した一冊。参考文献に父の遺した日記及び備忘録があり、それゆえ他の類書では描かれていないエピソードなどもあり、実に興味深い。ただし、あくまでも客観的な視点から「この資料によるとこういうことであったらしい」という描写が中心となっているために、いわゆる小説的な臨場感はない。また、著者にとっては知っていて当たり前の人名が、現在となっては「これ誰?」という箇所も多く、ある程度、当時の時代背景、世情などに通じていないと充分に理解できないのも残念。
でも、この手の本を何冊も読んできたこともあって、それなりに面白く読め、なかなか貴重な一冊でもあった。