『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』を観る。『聊斎志異』の中の一編「聶小倩」を映画化したもので、1960年の香港映画。ショウ・ブラザーズ製作、リー・ハンシャン監督作品。ツイ・ハークの『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』は本作のリメイクとなる。
泊まるところがなく、荒れ果てた寺に泊まり込むことになるニン(趙雷)。その寺には妖怪が出て泊まる者をとり殺すという噂があり、地元の者は誰も近寄ろうとはしていなかった。ニンは、同じくその寺に泊まり込んでいたイン(楊志卿)という道士と知りあいになる。
夜、そぞろ歩きをしていたニンは、琴を奏でていた小倩(楽蒂)という若い女性と出会うのだが……。
基本的には、しっとりした怪異譚であり、ツイ・ハーク版『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』のようなスペクタル映画とはなっていない。昔懐かしい日本の怪談映画と似たテイストの映画といっていいだろう。美術も音響も雰囲気たっぷりだ。ツイ・ハーク版の派手な演出も当然嫌いではないのだけれど、幽玄的な雰囲気の横溢した本作のテイストも捨てがたい。とはいうものの、最後はイン道士が剣をふるって妖怪を退治するのだけれど。
ツイ・ハーク版では、ウー・マ演じるイン道士が剣をふるいながら歌い踊るシーンがあったのだけれど、なんとあれは本作にあったシーンを踏襲したものだった。あんなシーンはてっきりツイ・ハークのオリジナルだと思っていたのに。
そして、レスリー・チャン演じるニンは、徹頭徹尾なさけないキャラクターだったけれど、オリジナルの方はもう少し芯の通ったキャラクターとして描かれている。さすがに主人公には、このくらいしっかりしていてほしいと思うぞ。
古い作品ではあるのだけれど、DVDの画質は非常にきれいだった。美術に力が入った作品なので、これは嬉しい限り。DVDに収録されているオリジナルの予告編を観ると画質の劣化は明らかで、それに比べると本作の画質のきれいさは特筆に値しよう。
また、リー・ハンシャン監督を特集した番組も収録されていて、これもなかなか面白かった。