【映画】スペクトル

 Netflix『スペクトル』なる映画を観る。ジャンルでいうと、戦争アクションにSFホラーを合体させたようなものか。
 内戦が続き混乱状態に陥っているモルドバで、駐屯していたアメリカ兵が正体不明の敵に襲われて死亡するという事件が発生する。その兵士が装着していた特殊なゴーグルには幽霊のような存在が写っていた。その存在に襲われると、内蔵が凍りついた一方で皮膚は焼けただれて死ぬのだった。同様の死亡事故が次々と発生し、この存在の正体を開明するために、ゴーグルの開発者であるクライン博士がモルドバに派遣される。
 だが、兵士らとともに現地入りした博士たちは、この謎の存在に襲われてしまう。銃撃しても銃弾が身体を通り抜けてしまうこのゴースト相手に、なんら闘うすべもなく、ひたすら逃げ回り、続々と倒れていく兵士たち。はたして、このゴーストの正体は? そして、どんな攻撃も効かないこの存在を倒す方法は?
 おおっ、なかなか面白いではありませんか。正体が明かされると「いやいや、それはないでしょ」と思うし、クライン博士がその場で大量に新型兵器を作ってしまうあたりも「いやいや、それは無理でしょ」と思うのだけれど、それでも充分に楽しめる。リアルな戦闘シーンでありながら、その敵が目に見えないゴーストという映像が、なかなかの迫力なのだ。
 ちなみにNetflixには「異次元の敵が襲来し、戦火に包まれたヨーロッパの街は壊滅状態。この危機に立ち向かうのは、ある技師と精鋭揃いの特殊作戦部隊。未知なる脅威との死闘が始まる。」とあるので、てっきり異次元から襲来した怪物が敵なのかと思ったら、ぜんぜんそういう設定ではなかった。すっかり騙されてしまい、「こいつらは異次元からやってきたんだぜ」とずっと思いながら観てしまったではないか。
 なお、レジェンダリー・ピクチャーズ製作なので、また中国人が活躍したりするのだろうかと不安になったのだけれど、2016年に中国に買収される直前に撮られていた作品なのだった。