【読書】馳星周『フェスタ』集英社

 馳星周『フェスタ』集英社を読了。
 パリで開催される「凱旋門賞」。そこで勝てる馬を作り出すという夢に取り憑かれた小さな生産牧場を営む男。そこで生み出された馬を買う馬主。その馬を預かって面倒をみる厩務員、調教師。人の言うことなど聞こうとしないクセの強い馬に騎乗するジョッキー。競馬にかかわるさまざまなホースマンたちの夢を託された「カムナビ」というサラブレッド。
 『黄金旅程』に続く競馬を題材にした作品で、競馬のことを何も知らない自分であっても引き込まれ、何度も目頭を熱くしてしまう。馳星周が犯罪も暴力も取り入れずに、ただただ競馬の世界だけを描いた小説。これが実にいい。こういう小説をもっと読ませてくれと、本当にそう思う。もっとも、「カムナビ」同様にへそ曲がりな著者のことだから、そう簡単に読者の要望など取り入れず、別のタイプの小説を書いていくのだろうけれど。でも、本当にこの手の小説をもっともっと読ませてほしい。

 本書を読んでいる最中にジャッキー・チェンの『ライド・オン』を観てきたので、すっかり頭の中は「馬だらけ」となってしまったのだった。