早起きをして、ユナイテッド・シネマ浦和までジャッキー・チェン主演の『ライド・オン』を観に行く。なんと、上映開始時間が8時20分。近所の映画館ではここでしか上映していないし、しかも上映はこの朝いちの1回だけという悲惨さ。できれば原語版で観たかったのだけれど、上映は日本語吹き替え版のみ。なんだかなあ。
香港映画の伝説的なスタントマンのルオ・ジーロン(ジャッキー・チェン)。いまでは歳をとり、愛馬のチートゥとともにエキストラなどの地味な仕事で日々の生活を凌いでいる。ところが、あるきっかけから、そんなジーロンにスタントの仕事が次々と入ってくるようになる。
そこに、チートゥの元持ち主であった友人の債務トラブルが原因で、チートゥが連れ去られる危機が発生する。困ったジーロンは、疎遠になっていた法学部の学生である一人娘のシャオバオ(リウ・ハオツン)に助けを求めることに。だが、家庭を顧みずに危険なスタントに人生をかけていた父を、シャオバオは許そうとはしなかった。
まず思ってしまったのは、さすがにジャッキーも歳をとったよなあ、ということ。顔が老けてしまったし、身のこなしもさすがに厳しい。その歳とったジャッキーにスタントの仕事が次々と入ってくるという脚本に無理を感じてしまった。
娘のシャオバオはそんな父に、もう危険なスタントはしないようにと頼み込み、ジーロンもそれを受け入れるくせに、ちょっとスタントの声がかかるとホイホイと依頼を受けて、それが原因で娘とケンカをする。このパターンが何回か繰り返されるのだけれど、ちょっと繰り返しすぎでは。
父の仕事を認めてマネージャー役を娘が引き受けるようになるのだが、父のためにエアコンの効いたテントを用意しろだのなんだのと、あれこれ要求する場面では、さすがにいちスタントマンのために映画会社がそこまで譲歩するわけないじゃんと思うし、そんな面倒くさいスタントマンだったら使わないぞとか思ってしまう。
それでも、年老いたジャッキーが、自分の若い頃のスタントシーンを眺める場面では、思わず目頭が熱くなってしまう。ジャッキー・チェンの映画を昔から観てきた人間にとって、これは問答無用で感情を揺さぶられる。
そして、唐突にやってきてジーロンを兄貴と慕うウー・ジン! いまや中国映画のトップスターとなったウー・ジンがジャッキーのためにこういう役をやってくれるという、そのことだけでも泣けてくる。
馬が好きでチートゥを手に入れようとするユー・ロングァン。過去にはいろいろな悪役も演じてきたユー・ロングァンだけれど、今回は絶対にいいヤツだよなと、最初から確信してしまう。
ウー・ジンが用意したジーロンのための映画の監督として登場してくるのが、なんとスタンリー・トン。若い頃のイケメンのスタンリー・トンしか知らなかったので、観た時にはスタンリー・トンと気がつかなかったのだけれど、あとで調べてあれがスタンリー・トンと知ってびっくりしてしまった。監督スタンリー・トン、主演ジャッキー・チェンというのは、かつての黄金のコンビではありませんか。
内容的にはあれこれ納得はいっていないのだけれど、それでも昔からのジャッキーのファンだったら心揺さぶられること間違いなしの1本だ。
あと、これは絶対に書いておかなければいけないことなのだけれど、シャオバオを演じているリウ・ハオツンがめちゃくちゃ可愛かった。可愛すぎでしょ。そして、ジャッキーと抱き合ったりするシーンを観るたびに、2人の頭の大きさが違いすぎて、まるで遠近感がおかしくなったように感じたのはきっと僕だけではあるまい。