H・P・ラヴクラスト原作のホラー映画『DAGON ダゴン』を観る。
ポールは友人のヨットに招待されて、スペインで優雅なバカンスを楽しんでいた。ところが、唐突に襲いかかってきた嵐でヨットは座礁し、友人夫妻をヨットに残し、ガールフレンドのバーバラと近くの村に救いを求めに行く。だが、その村で2人を待ち構えていたのは、邪神ダゴンを崇拝し、不気味な姿に変貌を遂げた村人たちであった。訳も分からないまま追い回されるポールだったが……。
おおっ、もっとダメダメな映画を予想していたのだけれど、なかなか雰囲気のある映画ではありませんか。とにかく、訳のわからないまま不気味な村人から逃げ回るだけの前半がいい。主人公が弱っちくって、ひたすら逃げ回るしかできないってのもいい。ちょっと抵抗しても、すぐに捕まってしまうのだ。
監督は『ZOMBIO/死霊のしたたり』『フロム・ビヨンド』などのスチュアート・ゴードン。なので、グロい血みどろの描写が続出するのだろうと覚悟して観たのだけれど、それほどでもない。グロい場面がないわけではないけれど、どちらかというと雰囲気で押してくるタイプのホラー映画だった。
スペイン映画なので、役者はぜんぜん知らない人たちなのだけれど、ウシアというダゴン教の女王みたいなキャラクターを演じているマカレナ・ゴメスという女優のインパクトが強かった。まったくまばたきをしない目をかっと見開いたままの表情が、実に怖い。この表情で見つめられたら、そのまま意思を失ってなんでも命じられた通りになってしまいそうだ。
「いあ、いあ、くとぅるふ、ふたぐん」という呪文の、「いあ、いあ」がひたすら繰り返される音楽も不気味だ。