【読書】日名子暁『マニラ好き』太田出版

 日名子暁『マニラ好き』太田出版を読了。
 フィリピーナの魅力に取り憑かれて、フィリピンパブに通い、さらにはマニラまで出かけていく日本人男性のさまざまな姿を詳細にレポートした1冊。これに先駆けて『マニラ通』という本が出ていて、本書はその続篇的な位置づけとなる。
 2007年に刊行された本なので、来日するフィリピン人女性をめぐる状況はだいぶ今とは違っている。なにより、来日するためのビザの発行が当時に比べてかなり厳しくなっている。しかも、外貨を稼ぎに出る先として、当時の日本は非常に魅力的な国であったのだけれど、いまはそれほどおいしい国ではなくなってしまっている。なので、あくまでも過去にこういう時期があったというスタンスで読む必要があろう。
 それにしても、なかなかディープな本である。マニラに棲息するヤクザなどのいかがわしい日本人男性の話も多いし、それを利用するフィリピーナのしたたかさなども活き活きと描かれている。フィリピンを相手にひと儲けとたくらんで、逆に有り金を巻き上げられる愚かな日本人男性なども登場してくる。フィリピンという国、フィリピン人のメンタリティを知ろうと思ったならば、いまでも充分に通用する1冊と言えよう。また、そういうこととは関係なしに、純粋に面白く読める本でもある。