ジョン・カーペンター監督のホラー映画『ハロウィン』を観る。その後、続篇やらリメイクやらがあれこれ作られているけれど、今回観たのは1978年製作の、シリーズの原点ともいうべき作品である。
あらためて観て、そのストーリーのシンプルさに驚かされる。なんの理由もなく姉を刺し殺した6歳の少年、マイケル・マイヤーズ。それから15年、精神病院に収容されていたマイケルが病院を抜け出し、ハロウィンの夜にかつて住んでいた町で殺戮を繰り広げる。
殺されるのは、ベビーシッターをしていた高校生たち。なぜ彼女たちが犠牲者になるのかという説明はなにもなし。どうしてマイケルが仮面をかぶって殺人を繰り広げるのかという説明もなし。なぜ、包丁で刺されて死んだと思っがマイケルが起き上がってくるのかという説明もなし。理屈がなにもないのが怖い。
ラストシーンでジェイミー・リー・カーティスが「ブギーマンてなんなのよ?」と言う気持ちもよくわかる。DVDではぜんぜん違う字幕になっていたけれど。
本作は30万ドルという低予算で、しかも20日間という短期間で撮られている。スタッフの多くはまだ20代の若者で、監督のジョン・カーペンター、製作のデブラ・ヒル、主演のジェイミー・リー・カーティスなど、本作がブレイクするきっかけとなったスタッフも多い。
音楽を担当しているのは、監督のジョン・カーペンター。その後も『ザ・フォッグ』などの音楽を自分で作曲しているのだけれど、シンプルなリズムの繰り返しが作品に非常にマッチしている。なんとも多才な人というしかない。
それにしても、アメリカのベビーシッターって、やりたい放題だな。友人がベビーシッターをやっている家にカップルで遊びに行って、その家のベッドを使ってセックスをするし、冷蔵庫から勝手にビールを出してきて飲むし。よくこんなんでバイト代を払うよな、とか思ってしまった。
そして、製作者のひとりであるデブラ・ヒルだけれど、本作の9年後にベビーシッターを主人公にした『ベビーシッター・アドベンチャー』の製作を担当することになるのだ。
DVDにはメイキングが収録されているのだけれど、これがまた知らなかった情報満載でいろいろと面白かった。ブギーマンのマスクのモデルが「スタートレック」のカーク船長だったというのは、なかなかの衝撃だったけれど。