★ハワード・コック『カサブランカ』新書館

 ハワード・コック『カサブランカ新書館を読了。


 てっきり原作の翻訳なのだと思い込んでいたら、収録されていたのは映画の脚本だった。しかも、上映30周年を記念して出された本のために、脚本家自らが手を入れたものであった。なので、本書を読むなら、映画を観るので十分とも言える。それでも、活字で読むのは、映画を観るのとはまた別の楽しさがあるのも事実。
 脚本とは別に、脚本家による当時の実録風エッセイも収録されていて、これがなかなか面白かった。なにしろ、撮影が始まっても、脚本はぜんぜん仕上がっていなかったのだ。撮影に追いつかれまいと必死に執筆していると、現場で勝手に書き直された脚本が戻されるというような状況下で書かれたものだったのである。
 それでいて、あのような名作映画が生まれるのだから世の中わからない。また、映画の『カサブランカ』を見直したくなる1冊だった。