★H・P・ラヴクラフト『狂気の山脈にて』新潮文庫

 H・P・ラヴクラフト『狂気の山脈にて』新潮文庫を読了。


 表題作と巻末の「時間からの影」は読み応え満点ながらも、延々と続く描写に正直いささか飽きてしまった。それよりも、その他の短めの作品の方が自分の好み。「エーリッヒ・ツァンの音楽」とか、実に印象に強い。
 この手の小説の翻訳、時にわざと古めかしい文体を採用していることもあるのだけれど、それはそれで雰囲気が出ていいのだろうかれど、自分としては本書のような現代的な訳文の方が好み。なまじ読み慣れていない文体を使われてしまうと、なかなかスムーズに読めなかったりするのだ。